01何をデザインする本?
生活へ自然になじみ、多くの状況で長く使われる日用品のデザイン。
※AIによる生成(出典:Amazon商品ページ)
02この本は、何を問い、どう答える?
- 問い
- 特別なものを求められるデザインに対して、「ふつう」の豊かさをどう提案できるか。
- 取り組み
- 日常に潜むふつうの事例を取り上げ、その使われ方と魅力を言語化する。
- 主張
- 優れたものは目立つ新奇さだけでなく、生活へ自然になじみ、多くの状況で長く使える汎用性と持続性を持つ。
※AIによる生成(出典:Amazon商品ページ)
03書評
デザインの理想を掲げる前に向き合うべきことがある
- 概要
- 深澤直人氏の著書『ふつう』は、日々の暮らしの中に潜む“ふつう”の物事に焦点を当て、その“ふつう”が持っている汎用性や持続可能性という価値を再発見し、それこそが現代人が目指すべき豊かさであると提案します。その具体例として、年月をかけて人々にとっての“ふつう”となっていった「民藝」などを理想形のひとつとして挙げています。
- 考察
- 本書の提唱する“ふつう”という豊かさは、資本主義社会における際限なき新奇性への追求がもたらす環境的・社会的問題に対する一つの解決策として、そして、「デザイン」が人々に提案するべき生活様式・価値観のひとつとして、魅力的に映ります。しかし、忘れてはならないのは、産業革命以降今もなお「際限なき新奇性への追求」に加担し続けてきたのは他ならぬ「デザイン」です。そのデザインの負の面に目を背けたまま、未来の理想や可能性だけを語るのでは、現状の根本的な解決は難しいでしょう。
- 結論
- 我々デザイナーは、デザインの理想を掲げる前に、今もなおデザインが消費文化を形成し続ける役割を果たしている現実を直視し、まずその反省から出発しなければなりません。これは、昨今デザインの課題としてよく目にする「ビジネス×デザイン」や「事業に貢献するデザイン」といった議論のことではありません。それらは「商業の中でデザインをいかに有効活用するか」という枠組みに捉えられた議論でしかありません。いつの間にか商業デザインがデザインの全てであるかのように語られ、人を豊かにすることを目的としない広告デザインやプロダクトデザインが蔓延ってしまったことに対する反省は、古くはヴィクター・パパネック氏の『生きのびるためのデザイン』(1974年)でも指摘されています。50年以上解決を先延ばしにされ続けたこの課題は、先人たちが切り拓いてくれたデザインの世界の恩恵に与るわれわれ後進デザイナーが無視することは許されない宿題です。